写真は約20年間トイレに貼ってた、野村本の見開きのコピー(実際のは変色してるのでさらにコピーしたものを撮影)。落合がノムさん相手に打撃哲学をとつとつと語ってるくだり。片岡さんはこれを「便所問答」と名付けてた(笑)。前々回アップした『オチ、キヨマーを語る』で、「打てる球だけ打てばいい」と提言してたオチ。それを自分でも実践してたことがよくわかる。しかしオチの太もも、ふくらはぎ…見るたびほれぼれする。かっけぇぇ!
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落合 ボールを、どこまでひきつけたらいいのか、どうやって打ったらいいのかわかんない。下手投げは、体で覚えたけど。おれ、今度、巨人の山本雅夫に聞いてみようと思う。「お前、どうやって左ピッチャー打つのか」って。
野村 左バッターが左ピッチャー打ちにくいというのは、外角へ流れていくスライダー、カーブが厄介なんだ。それをマスターすると、今度は内角へのえげつないシュートがある。そういう関係でいやだ。
落合 だけど、ぼくは、下手投げのピッチャーの真ん中から外に流れていくカーブは全部ボールだという観念しかない。だから何も追っかけることはない。
野村 事実そうだ。
落合 カーブだったら、背中からくるカーブと、あとシンカーだってなんだって、真ん中へ入ってくるか、インサイドから中へ入ってくるか、それだけ待っときゃ、下手投げは打てる。たとえば、阪急の山田さんとやるときに、カーブで三振しても凡打してもなんとも思わない。昔の山田さんじゃなくて、いまの山田さんね。真っすぐきた、シンカーきた。それで打ちとられると、すごく腹が立つ。だから、あの人とやるときは、インサイドないし真ん中よりインサイド寄りの真っすぐとシンカーしか待ってない。
野村 完璧主義じゃないんだ。
落合 そう、ぼくは全然違う。